月別アーカイブ: 2018年3月

松本卓也/山本圭 (編) 『〈つながり〉の現代思想――社会的紐帯をめぐる哲学・政治・精神分析』(明石書店、2018年)

〈つながり〉の現代思想―社会的紐帯をめぐる哲学・政治・精神分析

目次

  • まえがき(編者) [7]
    • 1 はじめに [7]
    • 2 「社会的紐帯」を再考する [8]
    • 3 本書の構成 [10]
  • 第I部 社会的紐帯への視座
    • 第一章 政治の余白としての社会的紐帯――ルソーにおける憐憫(淵田仁) [19]
      • 1 問題設定 [20]
      • 2 不完全な憐憫 [23]
      • 3 同一化としての憐憫 [27]
      • 4 同一化の条件 [31]
      • 5 何者でもない者の憐憫 [35]
    • 第二章 集団の病理から考える社会的紐帯――フロイトとラカンの集団心理学(松本卓也) [45]
      • はじめに――精神分析の二つの時代 [46]
      • 1 集団形成の病理と論理 [50]
        • 根源的暴力とそれを秩序づける〈父〉――フロイトの戦争論、ラカンの犯罪論 [50]
        • 〈父〉の不在とその病理――レイシズムを論じるフロイトとラカン [55]
      • 2 集団心理学から社会的紐帯の理論へ [62]
        • ディスクールとは社会的紐帯である [62]
        • 主人のディスクール [63]
        • 大学のディスクール [64]
        • ヒステリー者のディスクール [65]
        • 分析家のディスクール [66]
        • 資本主義のディスクール [66]
      • おわりに――新たな主人の到来としての現代 [68]
  • 第II部 社会的紐帯のポリティクス
    • 第三章 ポスト・ネイションの政治的紐帯のために(山本圭) [77]
      • はじめに [78]
      • 1 紐帯とネイションの罠 [80]
      • 2 ヘゲモニー論と精神分析理論 [82]
      • 3 民主主義と享楽の論理――ラクラウ=ヘグルンド論争をめぐって [86]
      • 4 ポピュリズムと政治的紐帯 [90]
      • おわりに [95]
    • 第四章 〈政治的なもの〉から〈社会的なもの〉へ?――〈政治的なもの〉の政治理論に何が可能か(乙部延剛) [101]
      • はじめに [102]
      • 1 「政治的なもの」とは何だったのか? [104]
      • 2 「政治的なもの」の退潮と「社会的なもの」の隆盛 [108]
      • 3 「政治的なもの」は「社会的なもの」を語ることができるか? [110]
      • 4 「政治的なもの」再考 [113]
      • 5 「政治的なもの」のどのような理論が今後可能か? [116]
      • おわりに [120]
    • 第五章 友愛の政治と来るべき民衆――ドゥルーズとデモクラシー(大久保歩) [125]
      • はじめに――ドゥルーズとデモクラシー [126]
      • 1 友の社会――哲学の誕生とデモクラシー [128]
      • 2 デモクラシーの恥辱――資本主義とオピニオン [133]
      • 3 マイノリティと不在の民衆 [139]
      • 4 来るべき民衆に向けて――芸術と哲学の使命 [144]
      • おわりに――社会的紐帯の可能性 [148]
  • 第III部 社会的紐帯の未来
    • 第六章 特異性の方へ、特異性を発って――ガタリとナンシー(柿並良佑) [161]
      • 序 [162]
      • 1 〈共通〉と〈特異〉のキアスム――主体から主体化へ [165]
      • 2 〈個体化〉と〈特異化〉――あるいは「化」ではなく [171]
      • 3 主体・特異・存在論 [176]
      • おわりに [180]
    • 第七章 外でつながること――ハーバーマスの精神分析論とエスの抵抗(比嘉徹徳) [201]
      • はじめに [202]
      • 1 「自己反省」としての精神分析 [204]
        • 1-1 公共的コミュニケーションからの疎外 [204]
        • 1-2 日常言語による統合(外部の消去 その1) [208]
        • 1-3 非同一性の喪失(外部の消去 その2) [211]
      • 2 エスと「死の欲動」 [214]
        • 2-1 翻訳の二重化、分析の「振り子」運動 [214]
        • 2-2 エスの抵抗/つながることへの抵抗 [217]
      • おわりに――シンボリックな統合からエスの紐帯へ [220]
    • 第八章 社会的紐帯と「不可能性」(信友建志) [229]
      • はじめに――社会的紐帯からディスクールへ [230]
      • 1 ラカンの術語とその導入の背景の確認 [232]
        • 1-1 《他者》からディスクールへ [232]
        • 1-2 ディスクールにおける「不可能性」と「不能性」 [234]
      • 2 不可能と不能 [237]
        • 2-1 「精神分析の大きな秘密」 [237]
        • 2-2 不能の《他者》と記章insigne [239]
        • 2-3 不可能な《他者》 [243]
        • 2-4 不能と不可能の関係 [244]
      • 3 対象aの浮上とその二面性 [246]
        • 3-1 「部分対象」――不能から不可能への移行の代償としての対象a [247]
        • 3-2 「失われた対象」――不能の《他者》の残余としての対象a [249]
      • 4 「分析家のディスクール」による社会的紐帯へ向けて [250]
        • 4-1 不能の復権? [251]
        • 4-2 不能と不可能の交錯 [254]
        • 4-3 精神分析の新たな倫理と「新しいシニフィアン」 [255]
      • 5 グループなき紐帯と「最悪宇宙」 [259]
  • あとがき(編者) [267]

松本彩花「カール・シュミットにおける民主主義論の成立過程(1)――第二帝政末期からヴァイマル共和政中期まで」

  • 『北大法学論集』68巻6号、63-122頁
  • 2018年3月30日発行
  • HUSCAP
  • 2)、(3)、(4

目次

  • 序論 [65]
    • (一)先行研究の概観と近年の研究動向 [65]
    • (二)本稿の目的とシュミット民主主義論に関する先行研究 [66]
    • (三)本稿の研究視角と全体構成 [69]
  • 第一章 シュトラスブルク大学時代におけるシュミットの思想(一九一〇-一九一九年) [80]
    • 第一節 『国家の価値と個人の意義』における国家論 [81]
      • (一)執筆に至るまでの経緯 [82]
      • (二)執筆当初の構想 [84]
      • (三)法哲学的方法論 [87]
      • (四)国家の課題 [88]
      • (五)同時代の知識人による反応 [93]
    • 第二節 最初期シュミットにおける共同体と個人 [94]
      • (一)神学的世界像における共同体と個人 [94]
      • (二)個人主義批判 [97]
      • (三)近代主観主義批判 [101]
    • 第三節 法学方法論をめぐる一九一〇年代におけるシュミットとケルゼン [105]
      • (一)初期シュミットにおける神学――法学並行論 [106]
      • (二)初期ケルゼンにおける神学――法学並行論 [107]
      • (三)擬制論に対するシュミットの評価 [111]
      • (四)擬制論に対するケルゼンの評価 [113]

加茂具樹/林載桓 (編) 『現代中国の政治制度――時間の政治と共産党支配』(慶應義塾大学出版会、2018年)

現代中国の政治制度:時間の政治と共産党支配 (慶應義塾大学東アジア研究所叢書)

目次

  • 序章 現代中国政治研究と歴史的制度論(林載桓)
  • 第1部 国家――包容と強制
    • 第1章 民主的制度の包容機能――人代改革の起源と持続(加茂具樹)
    • 第2章 現代中国の刑事司法制度と「厳打」――起源、経路依存、制度進化(金野純)
  • 第2部 エリート政治
    • 第3章 「集団領導制」の制度分析――権威主義体制、制度、時間(林載桓)
    • 第4章 領導小組の制度変化――中国の政策決定における半公式制度の機能の重層化(山口信治)
    • 第5章 中国の幹部選抜任用制度をめぐる政治(高原明生)
  • 第3部 中央・地方関係と経済
    • 第6章 香港の民主化問題の「時間の政治学(ポリティクス・イン・タイム)」――選挙制度形成の歴史と今後の見通し(倉田徹)
    • 第7章 中国経済の制度的背景――分散的権威主義体制下の自生的秩序(梶谷懐)
  • おわりに
  • 索引
  • 執筆者紹介

田中愛治 (編) 『熟議の効用、熟慮の効果――政治哲学を実証する』(勁草書房、2018年)

熟議の効用、熟慮の効果: 政治哲学を実証する

目次

  • プロローグ(田中愛治)
  • 第1章 序論(田中愛治/齋藤純一/古城佳子/小須田翔)
    • 1 本書の目的とその背景
    • 2 ミニ・パブリックス登場の背景とその後の発展
    • 3 世論調査の発展と限界,その後のCASI調査による可能性
    • 4 熟慮と熟議のテーマ設定の背景と経緯
    • 5 本研究におけるCASI調査とミニ・パブリックスの全体の設計
    • 6 本書の構成
  • 第2章 調査の概要(今井亮佑)
    • 1 プロジェクトの全体像
    • 2 1月CASI
    • 3 ミニ・パブリックス:日本の将来に関する静岡県民による意見交換会
    • 4 10月CASI
    • 5 1月CASI/6月MP追跡郵送調査
  • 第3章 ミニ・パブリックスにおける発話の分析(千葉涼/日野愛郎)
    • 1 はじめに:ミニ・パブリックスにおける発話量と態度変化
    • 2 発話内容の分析
    • 3 コーディング結果と考察
    • 4 おわりに
    • 付録 ミニ・パブリックス(MP)文字起こしデータに関する内容分析のコーディングマニュアル
  • 第4章 知識の獲得(山﨑新/横山智哉)
    • 1 はじめに:熟慮と熟議がもたらすもの
    • 2 熟慮・熟議による知識の獲得
    • 3 熟慮による知識の変化(1月CASIデータ)
    • 4 熟議による知識の変化(6月MPデータ)
    • 5 熟議の指標としての知識増加
    • 6 おわりに
  • 第5章 意見変化(遠藤晶久/横山智哉)
    • 1 はじめに
    • 2 1月CASIにおける意見変化
    • 3 6月MPにおける意見変化
    • 4 おわりに
  • 第6章 民主的態度の形成(横山智哉)
    • 1 はじめに
    • 2 1月CASIにおける視点取得の変化
    • 3 6月MPにおける視点取得の変化
    • 4 1月CASIにおける排外意識の変化
    • 5 6月MPにおける排外意識の変化
    • 6 おわりに
  • 第7章 熟議空間と公共圏をつなぐ(遠藤晶久/山﨑新)
    • 1 はじめに
    • 2 実験デザイン
    • 3 公共圏から熟議空間へ
    • 4 熟議空間から公共圏へ
    • 5 おわりに
  • 第8章 熟慮と熟議:効果の比較検証(今井亮佑)
    • 1 はじめに:本章の目的
    • 2 RQI
    • 3 分析
    • 4 おわりに
  • 第9章 結論(田中愛治/川出良枝/井柳美紀/西澤由隆)
    • 1 実証分析の視点から本書を振り返る
    • 2 規範理論の視点から本書を振り返る
    • 3 規範的政治理論と実証政治分析の架橋を目指して
  • エピローグ(田中愛治)
  • 謝辞
  • 参考文献
  • 事項索引
  • 人名索引
  • 執筆者紹介

久保文明『アメリカ政治史』(有斐閣、2018年)

アメリカ政治史

目次

  • 第1章 独立と建国
  • 第2章 民主主義の民主化と内戦
  • 第3章 産業化と多民族国家化
  • 第4章 「フロンティアの消滅」と人民党の挑戦
  • 第5章 革新主義の改革と帝国主義化
  • 第6章 第一次世界大戦と孤立主義の反撃
  • 第7章 繁栄と大恐慌
  • 第8章 ニューディールと第二次世界大戦
  • 第9章 冷戦の開幕と恒常的軍事大国化
  • 第10章 冷戦の激化とベトナム戦争
  • 第11章 デタントと大きな政府の挫折
  • 第12章 保守化と冷戦の終焉
  • 第13章 冷戦終結後の政治と第三の道
  • 第14章 保守の復活とテロとの戦い
  • 第15章 黒人大統領とイデオロギー的分極化
  • 終章 アメリカ第一主義とエリートの敗北

早川有紀『環境リスク規制の比較政治学――日本とEUにおける化学物質政策』(ミネルヴァ書房、2018年)

環境リスク規制の比較政治学:日本とEUにおける化学物質政策 (MINERVA人文・社会科学叢書)

目次

  • 略語一覧
  • 序章 なぜヨーロッパで厳しい環境リスク規制が成立したのか?
    • 1 1990年代以降のリスクをめぐる政治とリスク管理
    • 2 環境リスク規制分析の学術的意義
    • 3 環境リスク規制はどのように規定されるのか
  • 第1章 制度配置と規制者をめぐる分析枠組み
    • 1 リスク規制に影響を与える諸要因
    • 2 リスクに対する規制政策の特徴と課題
    • 3 規制者の権限と制度
    • 4 規制内容に影響を与える要因とそのメカニズム
  • 第2章 環境政策をめぐる制度配置と規制者
    • 1 日本における環境政策の発展と制度配置
    • 2 EUにおける環境政策の発展と制度配置
    • 3 環境リスク規制における政策手段および規制者の役割の変容
    • 4 制度配置の形成と規制者
  • 第3章 化学物質の製造・使用に対する規制
    • 1 製造・使用段階の化学物質規制
    • 2 日本における化審法2009年改正の制定過程
    • 3 EUにおけるREACH規則の成立過程
    • 4 化学物質の製造・使用に対する規制政策過程の比較分析
  • 第4章 電気電子製品に使用される化学物質に対する規制
    • 1 電気電子製品に対する化学物質規制
    • 2 日本におけるJ-Mossの制定過程
    • 3 EUにおけるRoHS指令の制定過程
    • 4 電気電子製品に使用される化学物質に対する規制政策過程の比較分析
  • 第5章 廃電気電子製品に含まれる化学物質に対する規制
    • 1 電気電子製品の廃棄排出に対する化学物質規制
    • 2 日本における家電リサイクル法の制定過程
    • 3 EUにおけるWEEE指令の制定過程
    • 4 廃電気電子製品に含まれる化学物質に関する規制政策過程の比較分析
  • 終章 環境リスクと規制政治
    • 1 制度配置が環境リスク規制に与える影響
    • 2 リスク規制の政治行政分析の発展に向けて
  • 巻末資料
  • 参考文献
  • あとがき
  • 索引

村田晃嗣『銀幕の大統領ロナルド・レーガン――現代大統領制と映画』(有斐閣、2018年)

銀幕の大統領ロナルド・レーガン -- 現代大統領制と映画

目次

  • 序章 二十世紀アメリカの文化と政治――研究の視角
  • 第1章 「僕の残り半分はどこだ?」――メディアによる人格形成
  • 第2章 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』――「赤狩り」と一九五〇年代
  • 第3章 「右派のFDR」――市民政治家の台頭
  • 第4章 レーガンの時代の始まり
  • 第5章 再選をめざして
  • 第6章 任務完了! ――「われわれが勝ち,彼らが負ける」
  • 終章 比較の中の「銀幕の大統領」

大澤津「正義論と政治・政策はいかに交わりうるのか――正義の理論から正義の議論に至る見取り図」

  • 『北九州市立大学法政論集』第45巻第3・4巻、1-17頁
  • 2018年3月発行

目次

  • 本稿の関心 [1]
  • I ロールズと正義論の二つの方向性――道徳化のプロジェクトと自律的世界 [3]
    • (1)政治・政策に内在する道徳的理想としての正義 [3]
    • (2)政治・政策の自律した世界 [4]
  • II 内在的制約としての正義 [7]
  • III 外在的変化要因としての正義 [10]
  • IV 正義論と政治・政策――いくつかの課題 [13]
  • 結語 [15]