古田拓也「政治思想史と政治理論――クェンティン・スキナーの自由論をめぐって」 『思想』1143号(2019年7月号)、23-42頁 2019年6月25日発行 出版社ページ 目次 I はじめに [23] II 第一期(八〇年代から九〇年代前半) [26] III 第二期(九〇年代後半から二〇〇〇年代前半) [28] IV 第三期(イラク戦争後) [30] V 方法論と政治観の変化 [34] VI おわりに [38]
渡辺靖『リバタリアニズム――アメリカを揺るがす自由至上主義』(中央公論新社、2019年) 中公新書 2522 2019年1月21日刊行 新書判, 244頁 出版社ページ 目次 第1章 リバタリアン・コミュニティ探訪 フリーステート・プロジェクト 人類を政治家から解放しよう 第2章 現代アメリカにおけるリバタリアニズムの影響力 「デモクラシー・ギャング」から身を守れ 「私、鉛筆は」… 第3章 リバタリアニズムの思想的系譜と論争 自由思想の英雄たち 自由は不自由? 第4章 「アメリカ」をめぐるリバタリアンの攻防 アレッポって何? アメリカのムッソリーニ 第5章 リバタリアニズムの拡散と壁 越境する「アイデアの共同体」 自由への攻防
神島裕子『正義とは何か――現代政治哲学の6つの視点』(中央公論新社、2018年) 中公新書 2505 2018年9月20日刊行 新書判, 288頁 出版社ページ 目次 まえがき [i] 序章 哲学と民主主義――古代ギリシア世界から [3] 第一章 「公正としての正義」――リベラリズム [19] 1 ロールズ『正義論』の背景――「私には夢がある」 [20] 2 正義原理と「無知のヴェール」 [32] 3 ロールズ以降のリベラリズム [55] 第二章 小さな政府の思想――リバタリアニズム [71] 1 古典的リベラリズムという源流 [72] 2 リバタリアニズムの四類型 [88] 3 「森の生活」――もうひとつの可能性 [105] 第三章 共同体における善い生――コミュニタリアニズム [113] 1 サンデルと「共通善にもとづく政治」 [114] 2 共同体の「美徳」を取り戻せ [126] 3 国境を越える共同体は可能か [136] 第四章 人間にとっての正義――フェミニズム [147] 1 「われわれ」からの排除――女性はいつまで「他者」なのか [148] 2 社会契約説とケイパビリティ・アプローチ [164] 3 個人を支える政治 [173] 第五章 グローバルな問題は私たちの課題――コスモポリタニズム [181] 1 「私たち」の課題としてのグローバルな問題 [182] 2 コスモポリタニズムの正義論 [191] 3 さまざまな具体的提案 [201] 第六章 国民国家と正義――ナショナリズム [213] 1 国家主義 [214] 2 リベラル・ナショナリズム [230] 3 愛国心は誰にとっての正義なのか [241] 終章 社会に生きる哲学者――これからの世界へ向けて [253] あとがき [263] 参考文献 [271]
政治思想学会 (編) 『政治思想研究 18 政治思想における「保守」の再検討』(風行社、2018年) 2018年4月27日刊行 A5判, 388頁 出版社ページ 学会ページ 目次 山岡龍一「まえがき」 [1-2] 特集 佐藤一進「バークは保守主義者なのか」 [7-20] 押村高「伝統の発見、社会の保全、統治の持続――モンテスキューにおける保守主義的モーメント」 [21-40] 井上弘貴「リベラリズムに背いて――ネオコン第一世代による保守主義の模索」 [41-70] 池内恵「米国オバマ政権末期におけるイスラーム認識の新潮流――「イスラーム国」の衝撃を受けて」 [71-106] 石井知章「中国社会主義国家における「保守」と「守旧」――「左派」を基軸とする思想状況をめぐり」 [107-123] 韓国政治思想学会からの寄稿 ユーブルラン「朝鮮後期における公共性――「損上益下」の理想を中心に」 [124-139] 公募論文 松尾隆佑「原発事故避難者と二重の住民登録――ステークホルダー・シティズンシップに基づく擁護」 [140-168] 上村剛「ブリテン国制解釈の権力分立論的変奏の一断面――ハミルトンのドゥロルム受容」 [169-199] 水谷仁「責任を引き受けるということ――マックス・ヴェーバーの責任倫理における投企の相」 [200-229] 松本彩花「指導者・喝采概念と民主政――ヴェーバーとシュミットの思想史的関係」 [230-259] 田中将人「トマス・ネーゲルの政治理論――〈正義観念の限定用法〉とその規範理論的含意」 [260-290] 阿部崇史「運の平等主義・過酷性批判・仮想保険――選択と併存する不運にいかに対処すべきか」 [291-318] 角崎洋平「平等主義の時間射程――デニス・マッカーリーの「いつの平等か」論の意義と限界」 [319-347] 書評 荒木勝「アリストテレス政治学における市民的互恵性の位置 Justice and Reciprocity in Aristotle’s Political Philosophy (Kazutaka Inamura)」 [348-349] 今野元「ロシア帝国辺境の「青の国際派」批判 『帝国・〈陰謀〉・ナショナリズム――「国民」統合過程のロシア社会とバルト・ドイツ人』(山本健三)」 [350-351] 谷本純一「自由における市民社会の重要性 『イタリア・ファシズムを生きた思想家たち――クローチェと批判的継承者』(倉科岳志)」 [352-353] 萩原能久「失われた社会的紐帯の再生を求めて 『政治哲学的考察――リベラルとソーシャルの間』(宇野重規)」 [354-355] 大澤津「政治哲学者ロールズの新たな肖像 『ロールズの政治哲学――差異の神義論=正義論』(田中将人)」 [356-357] 木部尚志「分析的平等論のひとつの到達点 『正義・平等・責任――平等主義的正義論の新たなる展開』(井上彰)」 [358-359] 早川誠「尊厳を守る社会構想としての税の哲学 『タックス・ジャスティス――税の政治哲学』(伊藤恭彦)」 [360-361] 尾原宏之「「新日本」の長い道のり 『偽史の政治学――新日本政治思想史』(河野有理)」 [362-363] 苅部直「大正思想の豊かな世界 『大正知識人の思想風景――「自我」と「社会」の発見とそのゆくえ』(飯田泰三)」 [364-365] 都築勉「戦後第二世代の政治学 『「大衆」と「市民」の戦後思想――藤田省三と松下圭一』(趙星銀)」 [366-367] 二〇一七年度学会研究会報告
松本卓也/山本圭 (編) 『〈つながり〉の現代思想――社会的紐帯をめぐる哲学・政治・精神分析』(明石書店、2018年) 2018年3月31日刊行 A5判, 272頁 出版社ページ 目次 まえがき(編者) [7] 1 はじめに [7] 2 「社会的紐帯」を再考する [8] 3 本書の構成 [10] 第I部 社会的紐帯への視座 第一章 政治の余白としての社会的紐帯――ルソーにおける憐憫(淵田仁) [19] 1 問題設定 [20] 2 不完全な憐憫 [23] 3 同一化としての憐憫 [27] 4 同一化の条件 [31] 5 何者でもない者の憐憫 [35] 第二章 集団の病理から考える社会的紐帯――フロイトとラカンの集団心理学(松本卓也) [45] はじめに――精神分析の二つの時代 [46] 1 集団形成の病理と論理 [50] 根源的暴力とそれを秩序づける〈父〉――フロイトの戦争論、ラカンの犯罪論 [50] 〈父〉の不在とその病理――レイシズムを論じるフロイトとラカン [55] 2 集団心理学から社会的紐帯の理論へ [62] ディスクールとは社会的紐帯である [62] 主人のディスクール [63] 大学のディスクール [64] ヒステリー者のディスクール [65] 分析家のディスクール [66] 資本主義のディスクール [66] おわりに――新たな主人の到来としての現代 [68] 第II部 社会的紐帯のポリティクス 第三章 ポスト・ネイションの政治的紐帯のために(山本圭) [77] はじめに [78] 1 紐帯とネイションの罠 [80] 2 ヘゲモニー論と精神分析理論 [82] 3 民主主義と享楽の論理――ラクラウ=ヘグルンド論争をめぐって [86] 4 ポピュリズムと政治的紐帯 [90] おわりに [95] 第四章 〈政治的なもの〉から〈社会的なもの〉へ?――〈政治的なもの〉の政治理論に何が可能か(乙部延剛) [101] はじめに [102] 1 「政治的なもの」とは何だったのか? [104] 2 「政治的なもの」の退潮と「社会的なもの」の隆盛 [108] 3 「政治的なもの」は「社会的なもの」を語ることができるか? [110] 4 「政治的なもの」再考 [113] 5 「政治的なもの」のどのような理論が今後可能か? [116] おわりに [120] 第五章 友愛の政治と来るべき民衆――ドゥルーズとデモクラシー(大久保歩) [125] はじめに――ドゥルーズとデモクラシー [126] 1 友の社会――哲学の誕生とデモクラシー [128] 2 デモクラシーの恥辱――資本主義とオピニオン [133] 3 マイノリティと不在の民衆 [139] 4 来るべき民衆に向けて――芸術と哲学の使命 [144] おわりに――社会的紐帯の可能性 [148] 第III部 社会的紐帯の未来 第六章 特異性の方へ、特異性を発って――ガタリとナンシー(柿並良佑) [161] 序 [162] 1 〈共通〉と〈特異〉のキアスム――主体から主体化へ [165] 2 〈個体化〉と〈特異化〉――あるいは「化」ではなく [171] 3 主体・特異・存在論 [176] おわりに [180] 第七章 外でつながること――ハーバーマスの精神分析論とエスの抵抗(比嘉徹徳) [201] はじめに [202] 1 「自己反省」としての精神分析 [204] 1-1 公共的コミュニケーションからの疎外 [204] 1-2 日常言語による統合(外部の消去 その1) [208] 1-3 非同一性の喪失(外部の消去 その2) [211] 2 エスと「死の欲動」 [214] 2-1 翻訳の二重化、分析の「振り子」運動 [214] 2-2 エスの抵抗/つながることへの抵抗 [217] おわりに――シンボリックな統合からエスの紐帯へ [220] 第八章 社会的紐帯と「不可能性」(信友建志) [229] はじめに――社会的紐帯からディスクールへ [230] 1 ラカンの術語とその導入の背景の確認 [232] 1-1 《他者》からディスクールへ [232] 1-2 ディスクールにおける「不可能性」と「不能性」 [234] 2 不可能と不能 [237] 2-1 「精神分析の大きな秘密」 [237] 2-2 不能の《他者》と記章insigne [239] 2-3 不可能な《他者》 [243] 2-4 不能と不可能の関係 [244] 3 対象aの浮上とその二面性 [246] 3-1 「部分対象」――不能から不可能への移行の代償としての対象a [247] 3-2 「失われた対象」――不能の《他者》の残余としての対象a [249] 4 「分析家のディスクール」による社会的紐帯へ向けて [250] 4-1 不能の復権? [251] 4-2 不能と不可能の交錯 [254] 4-3 精神分析の新たな倫理と「新しいシニフィアン」 [255] 5 グループなき紐帯と「最悪宇宙」 [259] あとがき(編者) [267]
政治思想学会 (編) 『政治思想研究 17 政治思想史における「方法」』(風行社、2017年) 2017年5月1日刊行 A5判, 526頁 出版社ページ 学会ページ 目次 特集 加藤哲理「精神史から存在論へ――初期ハイデガーの思索の道から」 近藤和貴「シュトラウスとファーラービーのプラトン」 渡部純「丸山眞男は役に立つのか――〈三・一一〉を素材として」 松元雅和「規範研究における実証研究の役立て方――反照的均衡を中心に」 趙星銀「松下圭一における「政治学」と「政治思想」」 韓国政治思想学会からの寄稿 徐希慶「大韓民国憲法前文と大韓民国の正統性に関する議論」 公募論文 内藤葉子「マリアンネ・ヴェーバーにおける「新しい倫理」批判と倫理的主体の構築――性をめぐる倫理/法/自然の関係」 高橋義彦「オーストロ・ファシズム確立過程の「合法性」と「正統性」――アドルフ・メルクル、ロベルト・ヘヒト、エーリッヒ・フェーゲリン」 石田雅樹「ハンナ・アーレントにおける「政治」と「責任」――全体主義体制下における普通のドイツ人の責任について」 柏崎正憲「ジョン・ロックにおける所有とシティズンシップ――政治共同体の内なる境界について」 関口佐紀「ルソーの市民宗教論における寛容――近代寛容論への批判と発展」 馬路智仁「大ブリテン構想と古典古代解釈――E・A・フリーマンとアルフレッド・ジマーンのギリシャ愛好主義」 寺井彩菜「「革命」という持続と断絶――「始まり」の後のハンナ・アレント」 上原賢司「無関係な人びとの間の平等主義的正義は何を意味するのか――グローバルな運の平等主義の批判的検討」 久野譲太郎「戦時期恒藤恭における民族認識の特質と展開――一九三〇年代後半期を中心に」 書評 田上雅徳「人間存在の受動性と能動性の狭間から 藤田潤一郎『存在と秩序――人間を巡るヘブライとギリシアからの問い』」 権左武志「一七八九年の理念から一九一四年の理念へ――ドイツ歴史主義と改革の政治学の行方 熊谷英人『フランス革命という鏡──十九世紀ドイツ歴史主義の時代』」 川合全弘「非政治的人間による政治との格闘の軌跡 速水淑子『トーマス・マンの政治思想――失われた市民を求めて』」 細井保「オーストリア政治思想史の可能性 高橋義彦『カール・クラウスと危機のオーストリア――世紀末・世界大戦・ファシズム』」 山崎望「「両義性の政治学」は可能か? 杉田敦『両義性のポリティーク』」 鵜飼健史「われら不審者の時代に――デモクラシーの理論と戦略 山本圭『不審者のデモクラシー――ラクラウの政治思想』」 早川誠「方法論から応用へ、そして二つの誘惑 松元雅和『応用政治哲学――方法論の探求』」 伊藤恭彦「「平等な者たちの社会」へ 木部尚志『平等の政治理論――〈品位ある平等〉にむけて』」 重田園江「「働くことの意味」とよい社会 田中拓道『よい社会の探求――労働・自己・相互性』」 河野有理「betするべき擬制は何か? 松田宏一郎『擬制の論理 自由の不安 近代日本政治思想論』」 中田喜万「徂徠以後をいかに見通すか 高山大毅『近世日本の「礼楽」と「修辞」――荻生徂徠以後の「接人」の制度構想』」
政治思想学会 (編) 『政治思想研究 16 政治思想における意思と理性』(風行社、2016年) 2016年5月1日刊行 A5判, 308頁 出版社ページ 学会ページ 目次 特集 川添美央子「意志と理性の結託と緊張――ホッブズ政治思想三部作の比較考察」 古城毅「代表制と理性に基づく統治――フランス革命期の、シスモンディ、スタール、ならびにコンスタンの代表制論」 大竹弘二「カール・シュミットと決断の根拠」 川口雄一「南原繁の政治哲学における「非合理性」と「合理性」――一九三〇年代後半の「政治上の合理主義」論を中心として」 乙部延剛「ドゥルーズの「おろかさ」論――『差異と反復』の政治的射程」 公募論文 斎藤拓也「カント政治思想における「知恵」の概念――公的意志の形成をめぐって」 上田悠久「ホッブズの「助言」論と熟慮・熟議――『リヴァイアサン』における統治の構想」 金山準「神の主権と人間の連合――プルードンの連合主義論」 犬飼渉「ロールズの合理的選択理論とカント的構成主義」 書評 苅部直「現代をめぐる思索と精神史の試み 小野紀明『西洋政治思想史講義――精神史的考察』」 山岡龍一「複数の「近代」像を求めて 原田健二朗『ケンブリッジ・プラトン主義――神学と政治の連関』」 古城毅「一八世紀フランスの政治経済学の特徴は何か 安藤裕介『商業・専制・世論――フランス啓蒙の「政治経済学」と統治原理の転換』」 井上彰「ポスト・ロールズ主義の地平? 神島裕子『ポスト・ロールズの正義論――ポッゲ・セン・ヌスバウム』」 杉田敦「「再帰的近代」における代表制の再評価 早川誠『代表制という思想』」 伊藤恭彦「グローバリゼーションと新たな政治主体の可能性 古賀敬太『コスモポリタニズムの挑戦――その思想史的考察』」 施光恒「多様性の尊重と社会的統合の両立という課題にいかに答えるか 千葉眞『連邦主義とコスモポリタニズム――思想、運動、制度構想』」 大久保健晴「御用学者と呼ばれた男の実像 田頭慎一郎『加藤弘之と明治国家――ある「官僚学者」の生涯と思想』」 理念の政治史(小原薫)〔佐藤健太郎『「平等」理念と政治――大正・昭和戦前期の税制改正と地域主義』〕 趙星銀「「市民社会」の内と外 小野寺研太『戦後日本の社会思想史――近代化と「市民社会」の変遷』」
松元雅和『応用政治哲学――方法論の探求』(風行社、2015年) コメントを残す 2015年11月30日刊行 A5版, 326頁 出版社ページ 著者HP 書評 佐野亘「われわれはなぜ政治哲学を必要とするのか? ──松元雅和『応用政治哲学──方法論の探究』の刊行によせて」『風のたより』61号 受賞 目次 序章 第一部 政治哲学の方法 第一章 科学と哲学――何が共通で何が異なるか 第一節 事実と価値 第二節 科学的説明 第三節 哲学的説明 第四節 検証と実験 第二章 分析的政治哲学の系譜論 第一節 分析的政治哲学の出自 第二節 言語分析と政治哲学――一九四〇~五〇年代 第三節 ポスト言語分析と政治哲学――一九六〇年代 第四節 『正義論』以降 第三章 現代政治哲学の方法 第一節 分析と論証 第二節 「分水嶺」としての『正義論』 第三節 演繹的論証と帰納的論証 第四節 方法論的ロールズ主義 第二部 政治哲学の応用 第四章 理想と現実――政治哲学における「現実」の位置づけ 第一節 ロールズの理想理論 第二節 コーエンのロールズ批判 第三節 基本構造と個人行動 第四節 対立の調停 第五章 理論と実践――実行可能性問題の検討 第一節 実行可能性問題とは何か 第二節 「望ましさ」の優先順位づけⅠ――レキシカル・オーダー 第三節 「望ましさ」の優先順位づけⅡ――トレード・オフ 第四節 政策立案者は政治哲学を必要とするか 第六章 哲学と政治――政治哲学研究の社会的役割 第一節 リベラル=コミュニタリアン論争――方法論的再考 第二節 第三の論証法――公共的理由 第三節 後期ロールズと政治哲学 第四節 民主主義社会は政治哲学を必要とするか 第三部 応用政治哲学の諸相 第七章 平等論と教育政策への応用 第一節 教育改革をめぐる近年の政策論議 第二節 平等主義と優先主義 第三節 教育の水準低下 第四節 実証的知見 第八章 現実主義/平和主義理論における理想と現実 第一節 問題の設定 第二節 現実主義理論における理想 第三節 理想理論と非理想理論 第四節 論争の再構成 第九章 政治理論としての功利主義の耐久性 第一節 統合論的応答 第二節 理論の説明的価値と実用的価値 第三節 多元論的応答 第四節 理論選択の方法 終章 補章 論証のモデルと事例 第一節 論証の基本構成 第二節 演繹的論証 第三節 帰納的論証 第四節 誤った/注意を要する論証
政治思想学会 (編) 『政治思想研究 15 国家と圏域の政治思想』(風行社、2015年) コメントを残す 2015年4月25日刊行 A5判, 426頁 出版社ページ 学会ページ 目次 苅部直「まえがき」 [1-2] 特集:国家と圏域の政治思想 王前「カール・シュミットと中国の邂逅――その国家・主権論を中心に」 [6-29] 山岡龍一「所有権と領土権――規範的政治理論における主権国家概念の再検討」 [30-57] 石井知章「東亜共同体論におけるマルクス主義の政治思想的位置」 [58-80] 小特集:主権国家体制のゆらぎと政治教育・市民教育の課題 小玉重夫「日本における政治教育・市民教育の現状と課題」 [81-96] 蓮見二郎「イングランドにおける政治教育・市民教育の現状と課題」 [97-125] 公募論文 熊谷英人「ある政治史の出発――B. G. ニーブーアのローマ王政論」 [126-158] 大井赤亥「H. ラスキの見た一九三〇年代アメリカのニューディール――「マルクス主義者」によるリーダーシップ論」 [159-187] 愛甲雄一「カントが世界共和国をしりぞけたのはなぜか――『永遠平和のために』と植民地支配批判」 [188-217] 内藤葉子「マックス・ヴェーバーにおける近代的主体の形成とその特質――心情倫理と「世界の脱魔術化」との関連から」 [218-247] 千野貴裕「アントニオ・グラムシのカトリック教会論――クローチェの教会批判の検討を中心に」 [248-277] 長野晃「カール・シュミットの均衡理論――リベラリズムとデモクラシーの分離と結合」 [278-306] 宮下豊「バターフィールドとニーバーにおける自国・敵国批判――政治的判断の比較研究のための一試論」 [307-334] 宮本雅也「分配的正義における功績概念の位置づけ――ロールズにおける功績の限定戦略の擁護」 [335-365] 松尾隆佑「ステークホールディング論の史的展開と批判的再構成――普遍主義的な資産ベース福祉によるシティズンシップ保障の構想」 [366-395] 書評 将基面貴巳「政治思想史の中のトマス・アクィナス 柴田平三郎『トマス・アクィナスの政治思想』(岩波書店、二〇一四年)」 [396-397] 高濱俊幸「マキァヴェッリの「二つの顔」 鹿子生浩輝『征服と自由――マキァヴェッリの政治思想とルネサンス・フィレンツェ』(風行社、二〇一三年)」 [398-399] 田上雅徳「政治が生む「寛容」/寛容が浮かび上がらせる「政治」 宇羽野明子『政治的寛容』(有斐閣、二〇一四年)」 [400-401] 菅原光「軍事をめぐる討論から見えてくる政治思想 尾原宏之『軍事と公論――明治元老院の政治思想』(慶應義塾大学出版会、二〇一四年)」 [402-403] 上野成利「〈美学〉から〈政治〉へ――若きルカーチと〈形式〉への意志 西永亮『初期ルカーチ政治思想の形成――文化・形式・政治』(小樽商科大学出版会、二〇一四年)」 [404-405] 岡野八代「灰色の時代に、(政治の)世界を見つめて 小山花子『観察の政治思想――アーレントと判断力』(東信堂、二〇一三年)」 [406-407] 杉田敦「主権のアポリアと人民の政治 鵜飼健史『人民主権について』(法政大学出版局、二〇一三年)」 [408] 二〇一四年度学会研究会報告 [410-418]
川崎修 (編) 『政治哲学と現代』(岩波書店、2014年) コメントを残す 岩波講座 政治哲学 6 240頁 出版社ページ 目次 刊行にあたって(編者) [v] 序論 政治哲学と現代(川崎修) [vii] リベラル・デモクラシーをめぐって [vii] 差異の政治学 [ix] グローバル・イシューと政治の問い直し [xi] 目次 I リベラル・デモクラシーの再定位 1 自由論の展開――リベラルな政治の構想のなかで(山岡龍一) [3] 一 言語分析と政治哲学 [3] 二 積極的自由 [4] 積極的自由の擁護 [4] 政治的自由としての積極的自由の批判 [6] 三 消極的自由 [8] 価値多元論と消極的自由の擁護 [8] 消極的自由論の修正 [9] 四 共和主義的自由 [12] 共和主義的自由論の再発見 [12] 支配の欠如としての自由 [14] 支配の構造と自由 [16] 五 純粋な消極的自由 [18] 純粋な消極的自由論による共和主義的自由論批判 [18] 自由・権利・正義 [20] おわりに [23] 2 平等論の展開――ロールズ以降の「運の平等主義」の基本問題(広瀬巌) [29] 一 ロールズ正義論の反響 [29] 二 道徳的に恣意的な要因の排除 [30] 三 選択運 [36] 四 運の平等主義への批判 [41] 結語 [46] 3 規範的民主主義理論としての多元主義――利益概念とエンパワメント概念の間(飯田文雄) [49] 一 現代民主主義理論の形成と多元主義 [49] 二 シュンペーターとエリート主義的多元主義 [51] 三 ロバート・ダールと集団多元主義の形成 [54] 四 多元主義の発展とエンパワメント(1)――民主化過程への関心 [61] 五 多元主義の発展とエンパワメント(2)――アメリカ憲法体制の再検討 [66] 結びにかえて [69] 4 熟議と参加――リベラル・デモクラシーを超えるのか(田村哲樹) [75] 序論 [75] 一 デモクラシー論の「熟議論的転回」 [76] 二 熟議民主主義と参加民主主義 [79] 両者の共通性 [79] 両者の相違 [80] 熟議と参加はどこまで異なるのか [81] 熟議と構造的条件 [82] 三 熟議と参加の困難性をめぐって [84] 政治関与の魅力のなさ [85] 「個人化」という時代状況 [85] 「負担軽減」をめぐって [86] デモクラシーのためのナッジ [89] 四 リベラル・デモクラシーを超えるのか [90] 参加民主主義とリベラル・デモクラシー [91] 熟議民主主義とリベラル・デモクラシー [93] 結論 [94] II 差異の政治学 5 精神分析と政治――フロイト、ラカン、ジジェク(有賀誠) [103] はじめに [103] 一 フロイト――啓蒙のプロジェクトとしての精神分析 [104] 二 ラカン――フロイトの再解釈による主体の起源論 [109] 三 ジジェク――「政治的なもの」の奪還 [116] おわりに [124] 6 フェミニズムとケア――つながりから社会正義へ(岡野八代) [127] はじめに [127] 一 ケアの倫理の源流――合衆国のウーマン・リブと一九七〇年代のフェミニズム理論における再生産領域への関心 [128] 源流としてのウーマン・リブ [128] 反動の時代におけるマルクス主義との出会い [129] フェミニズムの核心的な問い [130] 二 ルービン「女たちによる交通」のインパクト [132] ルービンの影響力 [132] ルービンの主張 [132] ルービンの限界 [134] 三 ケアの倫理の発見とその意義 [135] 『もうひとつの声』再読 [135] 葛藤と関係性への応答責任 [136] ケアの倫理における社会的不正義 [138] ケアの倫理の定義 [140] ギリガンの意義 [141] 四 ケアの倫理からグローバルな政治的責任論へ――アイリス・マリオン・ヤングを手がかりに [142] 一九八〇年代以降のフェミニズム理論 [142] 公私二元論に対する批判 [143] 社会の拘束性のなかの生とその可能性 [144] 構造的不正義とグローバル社会 [146] おわりに――つながりへの注視と未来への変革 [148] 7 アイデンティティと差異――政治哲学の〈文化的転回〉をめぐって(向山恭一) [153] 一 「お金」と「汚名」――ローティの文化左翼批判 [153] 二 正義と民主主義――ヤング『正義と差異の政治学』再読 [155] 「もつこと」と「すること」 [155] 構造的不正義を可視化すること [157] 「見ること」から「聴くこと」へ [160] 三 批判と応答――フレイザー=ヤング論争再考 [162] あまりにも未分化な「差異の政治」 [162] あまりにも硬直した二元論 [165] 外聞を気にするということ [167] 四 ルサンチマンを超えて――コノリーの「笑う」政治哲学 [169] 8 多文化の共存――宗教的多元主義と世俗主義の相克(木部尚志) [173] はじめに [173] 一 政教関係の多様性と政治的リベラリズムの非確定性 [175] 政治的リベラリズム [175] 政教分離の制度的多様性 [176] リベラリズムの非確定性 [177] 二 非西洋と世俗主義 [180] 文脈的世俗主義論 [180] 理解可能性の問題 [182] 土着的世俗主義の模索 [184] 三 宗教的多元主義とデモクラシー的可能性 [187] 宗教とアソシエーションのデモクラシー [187] イスラムのデモクラシー的可能性 [189] むすびにかえて [192] III 政治の「境界」 9 環境と政治――環境主義の展開 (丸山正次) [197] はじめに――環境政治の包括的理解 [197] 一 環境主義の課題 [198] 環境主義の始まり [198] 環境政治固有の第一課題 [198] 環境政治固有の第二課題 [199] 環境政治固有の第三課題 [200] 環境政治固有の第四課題 [202] 二 環境主義の類型化 [202] 三 環境政治課題への応答 [204] 第三課題=N人囚人ジレンマへの回答 [204] 第一課題=人間と自然との関係 [209] 第二課題=限界問題から何を導き出すか [212] 第四課題=政治経済 [215] 四 環境主義のゆくえ [218] 10 グローバル・ジャスティス――公正な地球社会をめざす規範(伊藤恭彦) [223] はじめに――地球的問題と正義 [223] 一 グローバル・ジャスティスのフロンティア [226] 二つの知的資源 [226] ベイツとポッゲ [227] グローバル・ジャスティスをめぐる論戦 [229] 二 ポスト・ウェストファリア世界の正義へ [233] コスモポリタニズムの純化 [233] 現実に近づくコスモぴリタニズム [235] グローバルな不正義に立ち返る [238] むすび――グローバル・ジャスティスの実践へ [240]