月別アーカイブ: 2018年9月

中村敏子「父権・母権・「性契約」――フィルマー・ホッブズ・ロックの権力論」

  • 『北海学園大学法学研究』第54巻第2号、1-29頁
  • 2018年9月30日発行
  • HOKUGA

目次

  • 一、国家と家族の権力をめぐる議論の概観 [1]
  • 二、フィルマーの父権論 [2]
    • (1)フィルマーの父権論の構造 [2]
    • (2)女性を抑圧する二つの「自然」――当時の社会における女性の位置づけ [5]
  • 三、ホッブズの母権論 [7]
    • (1)「自然状態」における人間 [7]
    • (2)「獲得によるコモンウェルス」 [8]
      • ①二種の支配形態 [8]
      • ②「自然的力」による支配の「獲得」 [10]
  • 四、ホッブズの母権論の意味 [11]
    • (1)女性を抑圧する二つの「自然」からの解放 [11]
    • (2)「合意」概念の革命性 [12]
    • (3)「合意」と女性 [17]
  • 五、ロックの社会契約と「性契約」という問題 [18]
    • (1)父権論に対する批判 [18]
    • (2)女性の「自然」による従属――「性契約」という問題 [20]
    • (3)「社会契約」と権力の変質 [23]

松本彩花「カール・シュミットにおける民主主義論の成立過程 (4・完)――第二帝政末期からヴァイマル共和政中期まで」

  • 『北大法学論集』第69巻3号、1-64頁
  • 2018年9月28日発行
  • HUSCAP
  • 1)、(2)、(3

目次

  • 第六章 『憲法論』におけるシュミット民主主義論の完成(一九二八年) [3]
    • 第一節 『憲法論』における人民の政治的統一としての国家 [5]
      • (一)初期以来のシュミットの国家観とその発展過程 [5]
      • (二)『憲法論』における人民の政治的統一としての国家観 [8]
      • (三)憲法制定権力の主体としての人民 [10]
    • 第二節 『憲法論』における民主主義的同一性概念 [11]
      • (一)民主主義的同一性の基礎――同質性、国民的同質性から同種性へ [11]
      • (二)近代憲法の政治的形式としての同一性原理 [15]
    • 第三節 『憲法論』における代表概念 [20]
      • (一)近代における代表概念の成立史――二つの異なる伝統の結合 [21]
      • (二)代表概念の特徴としての不可視の存在の「可視化」――カトリシズム論の継承 [23]
      • (三)代表概念の特徴としての人格性――カトリシズム論、ホッブズ論の継承 [25]
      • (四)代表概念の特徴としての人民の政治的統一の代表――同一性概念との結合による代表概念の修正 [28]
      • (五)代表概念の特徴としての公共性 [30]
    • 第四節 『憲法論』における同一性原理と代表原理の結合 [32]
      • (一)同一性原理と代表原理――その結合の可能性 [32]
      • (二)ライヒ大統領の地位に対する解釈 [34]
  • 結び [39]
    • (一)シュミット民主主義論の成立過程 [39]
    • (二)シュミット民主主義論の相対化――ケルゼンとの比較を通じて [49]
    • (三)シュミット民主主義論のその後の展開 [53]
    • (四)シュミット民主主義論に内在する諸問題 [60]

水島治郎/君塚直隆 (編) 『現代世界の陛下たち――デモクラシーと王室・皇室』(ミネルヴァ書房、2018年)

現代世界の陛下たち:デモクラシーと王室・皇室

目次

  • はじめに
  • 序章 現代世界の王室(君塚直隆)
    • 1 現代世界の陛下たち
    • 2 20世紀に消えていった王室
    • 3 21世紀の王室の運命
  • 第1章 女王陛下とイギリス王室――地上最後の王様?(君塚直隆)
    • 1 千年の歴史をせおって
    • 2 ジョージ五世の遺訓
    • 3 リリベットの登場と帝国の再編
    • 4 21世紀のイギリス王室
  • 第2章 スペイン政治と王室――安定装置としての君主制(細田晴子)
    • 1 不安定な君主制
    • 2 不安定な共和制・君主制か、安定した独裁制か
    • 3 安定した独裁制と後継者——なぜフランコは君主制を選択したのか?
    • 4 民主化移行——フランコ体制の後継者からデモクラシーの国王へ
    • 5 21世紀のスペイン王室——カリスマ国王から大衆化した王室へ
  • 第3章 オランダにおける王室の展開――時代の流れに沿って(水島治郎)
    • 1 デモクラシーと共存する王制
    • 2 女王の世紀
    • 3 三人の「殿下」たち
    • 4 21世紀に生きる王室
  • 第4章 ベルギー国王とデモクラシーの紆余曲折――君主を戴く共和国(松尾秀哉)
    • 1 国王の「一時的な退位」!?
    • 2 ベルギーとは
    • 3 ベルギー政治と国王の紆余曲折
    • 4 転換点 クビになったレオポルド三世
    • 5 分裂危機の時代の国王
    • 6 最後に――テロの時代の国王
  • 第5章 「国の父」を亡くしたタイ――民衆の敬愛はいかに培われたか(櫻田智恵)
    • 1 「ラーマ九世の時代に生まれた」誇り
    • 2 「国王が政治の上にいる民主主義」?
    • 3 実は演出家? プーミポン国王のメディア戦略
    • 4 王位継承と政治的駆け引き
  • 第6章 デモクラシーと「国体」は両立するか?――戦後日本のデモクラシーと天皇制(原 武史)
    • 1 敗戦と昭和天皇
    • 2 昭和天皇と高松宮の憲法認識
    • 3 昭和天皇の退位問題
    • 4 秩父宮と皇太后節子
    • 5 デモクラシーと「国体」の両立
    • 6 「詔書」と「おことば」
    • 7 天皇は「人間」になり得るか――結びに代えて
  • 第7章 デモクラシーと君主制(宇野重規)
    • 1 生き残った君主制
    • 2 君主制とデモクラシーは矛盾するか――制度論的考察
    • 3 王・貴族・民衆の複雑な関係
    • 4 フランス革命の衝撃
    • 5 王室を飼いならす?――W・バジョットの王室論
    • 6 デモクラシーと君主制は両立するか
  • おわりに
  • 人名・事項索引
  • コラム
    • 1 王冠をかけた恋
    • 2ロイヤル・ウェディングの起源
    • 3 本家はどちら?
    • 4 多才な北欧の君主たち
    • 5 日蘭皇室・王室の絆——マキシマ妃は雅子妃の「ロールモデル」?
    • 6ロマノフの亡霊?
    • 7 帝国の幻影
    • 8 巨人の国の大きな王様
    • 9 タイの神器
    • 10 五年ごとの国王陛下?
    • 11 両陛下が「意思」を示すとき——戦没者慰霊と被災地見舞い
    • 12 王女プリンセスたちの活躍
    • 13 アラブ世界の王妃の新たなスタイル

神島裕子『正義とは何か――現代政治哲学の6つの視点』(中央公論新社、2018年)

正義とは何か-現代政治哲学の6つの視点 (中公新書)

目次

  • まえがき [i]
  • 序章 哲学と民主主義――古代ギリシア世界から [3]
  • 第一章 「公正としての正義」――リベラリズム [19]
    • 1 ロールズ『正義論』の背景――「私には夢がある」 [20]
    • 2 正義原理と「無知のヴェール」 [32]
    • 3 ロールズ以降のリベラリズム [55]
  • 第二章 小さな政府の思想――リバタリアニズム [71]
    • 1 古典的リベラリズムという源流 [72]
    • 2 リバタリアニズムの四類型 [88]
    • 3 「森の生活」――もうひとつの可能性 [105]
  • 第三章 共同体における善い生――コミュニタリアニズム [113]
    • 1 サンデルと「共通善にもとづく政治」 [114]
    • 2 共同体の「美徳」を取り戻せ [126]
    • 3 国境を越える共同体は可能か [136]
  • 第四章 人間にとっての正義――フェミニズム [147]
    • 1 「われわれ」からの排除――女性はいつまで「他者」なのか [148]
    • 2 社会契約説とケイパビリティ・アプローチ [164]
    • 3 個人を支える政治 [173]
  • 第五章 グローバルな問題は私たちの課題――コスモポリタニズム [181]
    • 1 「私たち」の課題としてのグローバルな問題 [182]
    • 2 コスモポリタニズムの正義論 [191]
    • 3 さまざまな具体的提案 [201]
  • 第六章 国民国家と正義――ナショナリズム [213]
    • 1 国家主義 [214]
    • 2 リベラル・ナショナリズム [230]
    • 3 愛国心は誰にとっての正義なのか [241]
  • 終章 社会に生きる哲学者――これからの世界へ向けて [253]
  • あとがき [263]
  • 参考文献 [271]

千田航『フランスにおける雇用と子育ての「自由選択」――家族政策の福祉政治』(ミネルヴァ書房、2018年)

フランスにおける雇用と子育ての「自由選択」:家族政策の福祉政治 (シリーズ・現代の福祉国家)

  • シリーズ・現代の福祉国家 14
  • 2018年9月10日刊行
  • A5版, 292頁
  • 出版社ページ

目次

  • はしがき
  • 図表一覧/略語一覧
  • 序章 福祉国家の新たな鍵――困難に立ち向かう家族政策と「自由選択」
    • 1 不安定な社会の家族政策
    • 2 大陸ヨーロッパの転換と家族政策
    • 3 日本の方向性を占う家族政策
    • 4 家族政策の合意形成に向けて
  • 第1章 「自由選択」は何をもたらすのか――対立を超えた福祉政治の可能性
    • 1 「自由選択」とは何か
    • 2 「自由選択」と福祉国家の再編
    • 3 フランス家族政策の「自由選択」
    • 4 合意可能な一致点としての「自由選択」
  • 第2章 「自由選択」の見取り図――ライフスタイル選択の政治
    • 1 福祉国家・ジェンダー・家族政策
    • 2 社会的投資と仕事と家庭の調和
    • 3 家族政策の政策目的集合
    • 4 家族政策の発展と変容
  • 第3章 「自由選択」への助走――フランス家族政策の成立と安定
    • 1 2階建ての現金給付とライフスタイル選択
    • 2 普遍主義的現金給付の成立
    • 3 家族政策の「黄金時代」
    • 4 家族主義からの脱却
  • 第4章 「自由選択」の発展と再編――2階建て現金給付の確立
    • 1 少子化と財政問題
    • 2 「自由選択」の付加
    • 3 「自由選択」アイディアの登場と頓挫
    • 4 真の「自由選択」に向けて乳幼児受け入れ給付
    • 5 2階建て現金給付と「自由選択」
  • 第5章 認定保育ママと働く女性への「自由選択」
    • 1 サービス給付と認定保育ママ
    • 2 認定保育ママの成立とその影響
    • 3 保育所増設の限界と認定保育ママの活用
    • 4 認定保育ママと「仕事と家庭の調和」の結合
    • 5 「自由選択」の基盤としての認定保育ママ
  • 終章 「自由選択」の意義と課題
    • 1 フランス家族政策の発展と再編
    • 2 「自由選択」の意義
    • 3 「自由選択」の課題
    • 4 フランスの「自由選択」
  • 参考文献
  • あとがき
  • 巻末資料
  • 索引